OO7/慰めの報酬
『カジノ・ロワイヤル』の続編というか、後編
前編のラストで最愛の女ヴェスパーに裏切られ、その真意を問い質す間もなく死なせてしまったジェームズ・ボンド。彼女を操っていた謎の組織の正体を探るべく、世界を股にかけた血みどろの復讐行が始まる。
それは、ボンドが少しずつ己の人間味を切り捨てていく旅だ。
友情をゴミ箱に放り込み、ボンド・ガールへの欲情を忘れ、ついには復讐心すらも放棄する。
ラスト、ヴェスパーの想い出を雪上に打ち捨て、冷酷非情で任務に忠実、完璧な諜報マシーンと化したボンドの姿には戦慄を覚えずにいられない。
ここまでシリアスな路線を突き詰められると、次作を観るのがそら恐ろしくなってくる。
いきなり「美女と戯れ、美酒に酔う合間に、秘密兵器で敵組織とじゃれ合うように戦う、お気楽極楽スパイ」になって登場したとしても、それはそれで何もかもフッきれたボンド像として説得力があるように思うんですが、どうでしょうかねえ?