アートスクール・コンフィデンシャル

芸術家残酷物語


「偉大な画家に、僕はなる!」。
夢と希望に胸ふくらませて、ニューヨークの美術学校に入学したジェローム
だがそこは、根拠の無い自信と肥大した自尊心でブッ壊れた、芸術家の(腐った)卵の吹き溜まりだった。
一目惚れした美人モデルの気を惹こうとするジェロームもまた、迷走し、次第に自分を見失っていく…。


ゴーストワールド』ミーツ『ハチミツとクローバー』。
明るく楽しく、時に切ない「ハチクロ」とは対照的な、陰険で憂鬱で、際限なく惨めな美大のキャンパスライフが、冷めた視線のブラックユーモア満載で綴られていく。


悪い意味でユニークな学生たちはもちろん、心のこもらない授業風景が最高なジョン・マルコヴィッチ先生や、イヤミな画廊オーナーのスティーブ・ブシェミ等、生徒を取り巻く大人も揃ってダメな人たち。


成功した卒業生、落ちぶれた卒業生が語るイカレた芸術論。
あらゆるアート手法を片っぱしから試しまくり、スベリまくるジェロームのドタバタ劇。
いかにもダメな感じが見事な劇中作品の数々と、それをしたり顔で評価する人々の愚かしく滑稽な姿。


誇張されつつもリアルな美大のダークサイドを嗤いつつ、脚本のダニエル・クロウズテリー・ツワイゴフ監督は、空疎な現代アート「業界」に対して痛烈な皮肉を投げかける。
美しくも完全に間違っているハッピーエンドには、現役美大生やデザイン・フェスタに出典するような人たちでなくとも奇妙な感動を覚えるはずだ。