涼宮ハルヒの憂鬱

ライトノベルが原作のTVシリーズ第1話は、丸々「高校生が文化祭のために作った自主制作映画」の再現を試みた、大変な野心作だった。あえて「クソゲー」を狙って作られた「グルーヴ地獄V」「バイトヘル2000」の感覚に…近い?


拙い演技を子細に描写した作画・芝居アニメであり、嫌が応にもカメラの存在を意識させる画作りを狙った演出・撮影アニメでもあり、ぎこちない台詞まわしと未整音の環境ノイズに満ちた声優・音響アニメでもある。特に歩いている人物を真横からフォローで追うカットは、カメラマンの息遣いが伝わってくるようなリアルなヘタクソっぽさで、出色の出来(笑)。


シナリオからポストプロダクションに至るまで、アニメ制作の全行程において、ひたすら「ダメな映画」を作り上げるために重ねられたスタッフの努力には、微妙な感動を覚えずにはいられない。


学生時代、自主制作映画上映会の暗がりに身を潜めて一喜一憂(いや、十憂くらい?)した、しょっぱい想い出が蘇ってきました。押し入れの奥で腐り果てている8ミリ(フィルム)カメラを、思わず引っ張り出したくなるような傑作…でいいのかな? 僕は引っ張り出しました。