大陸横断超特急

テレビ東京 午後のロードショー


その昔、ゴールデンタイムの洋画劇場には、どの局でも最初と最後には必ず解説者が出てきたもんだった。
そんな黄金期にテレビで映画を観て育った世代には、吹き替えじゃないと観る気になれない映画ってやつが、何本もある。
これもそんな吹き替え映画の傑作の一本で、本当に久しぶりの再放映には感涙しきり。テレビ東京、えらい!


ミステリーあり、サスペンスあり、珍道中あり、アクションあり、とどめに一大パニック・スペクタクルあり…。節操はないけど、終始のんびり大らかムードの、素晴らしき70年代娯楽映画。
実は、M・ナイト・シャマラン監督『アンブレイカブル』の元ネタとしても有名である(嘘)。


悪党に何度も列車から放り出されては舞い戻る主人公、ジーン・ワイルダーには、安心のフィックス、広川太一郎
スノーク系逆ギレ広川節に乗せて、気弱なインテリがヒロインを救うべくあたふた奮闘する様が、たっぷり堪能できる。滝口順平が演じる田舎保安官との頓珍漢なやり取りは、爆笑必至だ。


ヒロイン、ジル・クレイバーグ役は、小原乃梨子
はっきり言って、セクシー度は原語の5割増しです。なぜか園芸の話をしつつ演じるラブ・シーンは、おかしくてエッチで、やっぱり最高。初見時の甘酸っぱい記憶が、まざまざと蘇ってきましたよ。


旅の道連れとなるケチな泥棒リチャード・プライヤーに、坂口芳貞。
モーガン・フリーマンのような枯れた味わいの老人といえばこの人だけど、昔はこんなお調子者のチンピラ役もやってたんだよなぁ。


テレ東さん、次はぜひ、ジーン・ワイルダー広川太一郎の最高傑作『ヤング・フランケンシュタイン』を。


出演:土屋嘉男、神山卓三穂積隆信たてかべ和也、他
演出:田島荘三 翻訳:大野隆一


【広川語録】
(線路に転がる牛の骨を放り投げつつ)「こんなになるまで寝てるなよっ、モーッ!」「チキショー、まただもの〜!」「レンブラントはとっくに死んでますっ!」「いら〜ないっ!」「これで三度目だもの〜!」「そんな事全然知らないものこっちは〜!」