セルラー

組長先生のイメージで


突如、正体不明の集団に拉致監禁されてしまったヒロイン。必死の思いで壊れた電話の配線を繋いでみれば、かかった先は、お調子者の青年が持つ携帯電話だった…。
随所に携帯ならではの小技を効かせた、いかにもナチュラル・ボーン・B級のラリー・コーエン原案らしい、快作。
デッドコースター』でのやりすぎ感あふれる玉突き事故演出が記憶に新しいデヴィッド・R・エリス監督は、今回も些細なツッコミを許さないテンポの良い演出で、一気にラストまで駆け抜ける。


キャストの成功ポイントは、何といっても、今アメリカ映画でしょぼくれ中年を演じさせれば右に出る者はいない、ウィリアム・H・メイシーの起用でしょう。
主人公を助ける事になる警官の役だけど、27年間拳銃を撃った事がなく、定年後は夫婦でスパ経営を夢見るその姿は、全くもって頼りないの一言。
そんな貧相な小男が、強面のタフガイ、ジェイソン『トランスポーター』ステイサム率いる凶悪集団に立ち向かっていくんだから、何だか必要以上にハラハラドキドキですよ(笑)。


DVDの佐々木敏も文句ない好演なんだけど、個人的な好みで、TV放映時には納谷六朗にメイシーの吹き替えをお願いしたいところ。『クレヨンしんちゃん』の組…園長先生の感じでやってくれたら、完璧です。