スネーク・フライト

ヘビがジャンボでやってくる

スネーク・フライト [DVD]

スネーク・フライト』は原題(Snakes on a Plane)通り、旅客機にヘビが溢れかえって大騒ぎという、もう本当にただそれだけの、潔いにもほどがある見事なまでのB級映画だ。


「ちょっと話が馬鹿馬鹿しすぎやしないか?」「でもやるんだよ」
「○○と○○の寄せ集めというかパクリ…」「でもやるんだよ」
「予算も時間も全然足りないんですが」「でもやるんだよ」
「ぶっちゃけ役者が微妙…」「でもやるんだよ」


低予算のジャンル映画ならではの逆境と逡巡に、腐らずめげず「でもやるんだよ」と立ち向かうスタッフ、キャスト達。名作と呼ばれるB級映画の数々は、きっとそんな現場から生まれてきたに違いない。


スネーク・フライト』にも、そんなB級魂とでもいうべき心意気が、頭からしっぽまでみっしりと詰まっている(ヘビだけに)。
やるべき事をきちんとやる脚本。しっかり役割をわきまえた登場人物。ただひたすら職人芸に徹した演出。
卑屈とは無縁で、これほど「B級」に誠実な映画には、なかなかお目に掛かれない。
タイトルを聞いただけで出演を承諾したというサミュエル・L・ジャクソン、快作を連発し今や安心のブランドとなったデイヴィッド・エリス監督を始め、スタッフ、キャスト全員の「だからやるんだよ!」という叫びが聞こえてくるかのような、B級映画(として)の大傑作である。


ところでサミュエルが徹底的にこだわりぬいたという(笑)この原題って、『トイ・ストーリー』のウッディの決め台詞("There's a snake in my boot!")から来てるのかしら?